2.クハ481 0番台のタイフォンを中心とした外観研究(前編)

解説及び画像:JAPANGT−E様

クハ481-2:1990年2月24日 仙台

<はじめに>

 私がクハ481−0番台に興味を持ち始めたのはかなり遅く、JR移行後1年以上たった1988年の秋頃になります。当時高校生であったので、都心方面へ行く際に「新幹線でなく行くためには・・・」と特急「ひたち」に目をつけるようになり、仙台駅ホームで漠然と見ているうちに「あれ、アコモデーションにもいろいろあるぞ」とその違いを楽しむようになりました。
 その後、全編成のチェックをするうちに、「編成番号以外に先頭車で何か見分けられるものはないか」と各社の形状を仔細に観察するうち「どうもタイフォンがポイントになりそうだ」という点にたどり着きました。そうしてタイフォンの形状によっていくつかの分類を行なうようになったのです。
 その後、インターネットを始め、こちらのサイトを知り、「クハ481・489ボンネット車の面々」を拝見しまして、勝田車以外の0番台についてもそれぞれ個性があることを学び取りました。今回「タイフォン分類」の新たな研究の機会をいただき、以前「ボンネット特急の角度」で発表させていただいた拙稿に加筆・訂正を行ない、さらにはタイフォン以外の見分け方を追加して「クハ481−0番台のタイフォンを中心とした外観研究」としてここに披露させていただく次第です。
 なお今回は「クハ481−0番台」に特化しておりますので、他の交直流ボンネット車については割愛させていただきます。また、拙稿中において記述する書籍について、次のように省略させていただきます。
     ・鉄道ファン・・・F誌
     ・イカロス出版「形式485系」・・・イカロス本

<タイフォン分類の概要>

 クハ481−0番台は1964〜1971年にかけて製造され、481系グループ(1〜18)、483系グループ(19〜28)、485系グループ(29〜40)に大別されます。このうちタイフォンについては、当初はAW5形をスカートと屋根上のライトケース内に各2個装備しておりましたが、ライトケース内のものはのちに100番台に合わせてAW2形1個に交換されました。
 一方のスカート部ですが、1〜28は新製時は「ふち無し穴」で落成、29以降は「中折シャッターカバー付き」で登場し、19〜28は回転式カバーを後付け、のちに29・30ともどもボンネット内(尾灯内側)へ移設されました。
 新幹線開業による大移動を繰り返してきた0番台ですが、1985年3月の東北新幹線上野開業時の転配属は、その中でも大規模なものでした。それまで向日町〜九州とまさに10年ごとに集団で移動していた481系グループを中心とした合計28両が大挙して勝田電車区に転入、一躍「ひたち」として常磐路を賑わすこととなったのです。この結果、九州には元「ビデオカー」の4両(33・35・37・39)のみが残り、またそれまで仙台運転所配置だった車両も半数が向日町へ行き、北陸路を主戦場としました。
 さて、勝田に計30両配置となった0番台ですが、各グループの形態を持つ車両が混在したことで、趣味的に見て実に面白いものとなりました。特にタイフォン部は、グループの個性がはっきりと出ておりました。下表はF誌295(1985−11月)号による481・485系グループのタイフォン分類表です。作成は1985年8月時点とのことです。

車番 タイフォン形状
1 ふち無し穴
2 ふち無し穴
3 ふち無し穴
4 ふち無し穴
5 ふち無し穴
6 ふち無し穴
7 ふち有り穴
8 ふち無し穴
9 ふち無し穴
10 ふち無し穴
11 ふち無し穴、内側にスリット付き
12 ふち無し穴
13 ふち有り穴
14 ふち有り穴
15 ふち無し穴
16 ふち無し穴
17 ふち無し穴
18 ふち有り穴
31 スリットカバー、中心に蝶番あり
32 スリットカバー、中心に蝶番あり
34 スリットカバー
36 中折シャッター
38 中折シャッター
40 中折シャッター

 この当時は、481系グループについてはまだまだ原形の「ふち無し穴」が大勢を占め、485系グループについては何かしらかのカバーが残っている状態でした。
 その後、郡山工場で検修を行なうにつれ、徐々に「ふち有り穴」となった車両が増え始め、カバー装備車についても形態の変更・取り外しといったものが出てきました。その一方で、車体移設組については全く手が加えられなかったのもまた興味深いところです。ところで、この「ふち有り穴」への変更についての詳しい事情は今もって不明ですが、穴周辺の腐食防止、あるいは保守の容易といったことが考えられます。
 一方向日町組は1986年11月改正で全車上沼垂電車区へと転属し、翌年のJR移行時には勝田組とともにJR東日本の所属となりました。タイフォンは手付かずのままでした。また九州の4両は、そのままJR九州所属車となり、タイフォンについては1985年以前に施された改造のまま推移していきました。
 そうした流れを踏まえた上で作成したのが、下表です。勝田車の形態変化がほぼ落ち着い1988年10月1日時点を基準としております。
車番 所属 位置 ねじ位置 カバー その他の主な外観上の特徴
1 勝田 スカート ふち有 シールドビーム(換)化、空気管カバー丸型 ◎ 
2 勝田 スカート ふち有 ×  
3 勝田 スカート ふち有 × ロールマーク改造痕下寄り ◎
4 勝田 スカート ふち無 ×  
5 勝田 スカート ふち無 なし 空気管カバー丸型 ◎
6 勝田 スカート ふち無 不明 ロールマーク改造痕下寄り
7 勝田 スカート ふち有 ×  
8 勝田 スカート ふち有 連結器カバー上に滑り止め残存 ◎
9 勝田 スカート ふち無 シールドビーム(換)化
10 勝田 スカート ふち有 下部ヘッドライト周り銀塗装 ◎
11 勝田 スカート ふち無 シールドビーム(換)化
12 勝田 スカート ふち無 シールドビーム(換)化、ロールマーク改造痕下寄り ◎
13 勝田 スカート ふち有 不明  
14 勝田 スカート ふち有 × 空気管カバー無し
15 勝田 スカート ふち有 空気管カバー無し ◎
16 勝田 スカート ふち有  
17 勝田 スカート ふち有 助+・運× ◎(『番外』で紹介)
18 勝田 スカート ふち有 連結器カバー大型
19 勝田 ライト脇 回転1  
20 勝田 ライト脇 回転1  
21 上沼垂 ライト脇 回転1  
22 勝田 ライト脇 回転1  
23 上沼垂 ライト脇 回転1  
24 勝田 ライト脇 回転1  
25 勝田 ライト脇 回転1 シールドビーム(改)化 ◎
26 勝田 ライト脇 回転2 シールドビーム(改)化
27 上沼垂 ライト脇 回転1 シールドビーム(改)化
28 上沼垂 ライト脇 回転1 ◎(『番外』で紹介)
29 上沼垂 ライト脇 回転1 空気管カバー外寄り ◎
30 上沼垂 ライト脇 中折 シールドビーム(改)化
31 勝田 スカート スリット1  
32 勝田 スカート スリット1  
33 南福岡 スカート スリット2  
34 勝田 スカート ふち有 × シールドビーム(換)化
35 南福岡 スカート ふち無 なし  
36 勝田 スカート ふち有 別項にて解説
37 南福岡 スカート ふち無 ロールマーク改造痕 ◎
38 勝田 スカート 中折 ロールマーク改造痕 ◎
39 南福岡 スカート スリット1  
40 勝田 スカート 中折  

       ※ ◎は「番外・その他」で画像を紹介している車両。
       ※ シールドビームの項:(換)は「灯体交換」型、(改)は「完全改造」型。

 それでは次項より、写真を交えた形態分類を行なわせていただきます。撮影者の氏名がないものについては、全て筆者撮影のものです。

<タイフォンの基本分類>

 
 ここでは、1988年10月1日におけるタイフォン形状の基本的な分類を紹介いたします。なお一部車両については別項にて記述しているものもありますので、その点についてはご了承願います。
 
1.クハ481−4

・スカート部ふち無し穴、ねじ位置×型:1989年 2月8日 仙台

 ふち無しのタイフォン穴に周囲4個のねじが「×」に位置するタイプです。現在のところこの形状は写真の4番以外は確認しておりません。このタイプのスカートがのちに「話題の主」になるのです(後述)。


2.クハ481−11

・スカート部ふち無し穴、ねじ位置+型:1990年2月19日 仙台

 同じくふち無し穴ながら、周囲のねじが「+」に位置するタイプです。481・483系グループの新製当時のスタイルはこれであると思われます。同形態として他に9・12、さらにタイフォンカバーを外した37の計4両を確認しております。ちなみに写真の11はシールドビーム化(灯体交換型、後述)されております。


3.クハ481−14

・スカート部ふち有り穴、ねじ位置×型: 1989年5月5日 上野

 こちらはタイフォン穴に縁取りが入ったものです。周囲にあったねじもふち内に収まっており、これは「×」位置にあるタイプです。同形態として2・3・7、そしてタイフォンカバーを外した34の計5両を確認しております。
 ちなみにこの14、南福岡時代にスカートがクリーム色化され、また空気管カバーも欠落していたため、勝田転入時より車番特定が容易でした。


4.クハ481−16

・スカート部ふち有り穴、ねじ位置+型:1990年4月1日 勝田電車区(公道より)

 縁取りのあるタイフォン穴に、ねじが「+」に位置するタイプです。同形態として1・8・10・15・18の計6両を確認しております。


5.クハ481−20



・ボンネット部移設、回転式カバー型:1990年2月21日 仙台

 こちらは483系グループの代表的なスタイルです。回転型カバーは当初はスカートの穴に取り付けられ、のちに雪対策として本体とともにボンネット内部に移設されました。言うなれば「東北のボンネット型」といった感じでしょうか。19〜25・27〜29がこのスタイル(29は後述)でした。この20番はグループ内他車と比較して、空気管の位置が若干中寄りにありました。連結器カバーとの間のスペースが狭いのが見て取れるかと思います。


6.クハ481−26



・ボンネット部移設、回転式カバー(反転)型:1990年4月1日 勝田電車区(許可を得て撮影)

 「変形車」としてあまりにも有名な26番は、唯一回転式カバーが上下逆向きに取り付けられておりました。東北地区の455系列と同じスタイルです。
 また、この車両はシールドビーム化(完全改造型)されております。


7.クハ481−30

・ボンネット部移設、中折式カバー型:撮影日不詳 仙台
写真所蔵:JAPAN GT−E

 縦型グリル装備車の中で唯一タイフォンを移設したのがこの30番です。カバーは原形の中折式シャッターをそのまま流用しております。この車両もシールドビーム化(完全改造型)されております。
 なおこの画像は、ホーム上から撮影したものをトリミングしております。


8.クハ481−31

・スカート部中折カバー撤去、スリットカバーかぶせ型:1988年11月23日 仙台

 31〜40は向日町〜九州と配置されていたので、タイフォンはスカートに残されたままでした。その後大多数の車両においては、保守の容易と故障防止の観点から、中折シャッターが外されるようになりました。その内シャッターのみを撤去し、スリットカバーをかぶせたのがこのスタイルです。上部スティは存置されております。同形態は32・39の計3両を確認しております。


9.クハ481−33

・スカート部タイフォンカバーユニット撤去、スリットカバーかぶせ型:撮影日、場所不詳
画像提供:ヒゲ無し雷鳥様

 こちらはタイフォンカバー一式を全て撤去し、穴にスリットカバーをかぶせたスタイルです。33番が唯一無二の形態でした。画像のように「RED EXPRESS」色後も同形態を保っておりました。国鉄色時代についてはF誌295号カラーページにその姿がございます。


10.クハ481−35

・スカート部ふち無し穴、ねじ無し:1994年 場所不詳
画像提供:ヒゲ無し雷鳥様

 スカート部タイフォン穴のタイプには、一部穴周囲のねじが確認できない車両も存在しました。現在のところ481系グループの5番とタイフォンカバー一式を撤去した35番の2両を確認しており、両車とも「ふち無し穴」となっております。


11.クハ481−40

・スカート部中折カバー型: 1989年5月4日 上野

 485系グループの原形スタイルです。他に38が同形態でした。
 なお、中折シャッターについては、車両によってゴム製の緩衝材がふたに付いているものといないものとが存在しましたが、拙稿ではF誌211('78年11月)号の廣吉秀治氏のイラストを範とし、緩衝材付きを「原形」とさせていただきました。
 なおクハ481−6と13については、タイフォン穴形態までしか確認しておりません(6−ふち無し、13−ふち有り)。両車の勝田時代の画像をお持ちの方がおられましたら、ぜひとも拝見させていただきたいと思います。
<つづく>

後編へつづく

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